ファッションメンヘラ

メンヘラを装備した人の思うところ。

パパ活

パパ活

 

この言葉を初めて聞いた時、

ある人のことをふと思い出した。

 

 

その人は、いつもいい匂いがした。

香水の匂いだ。

どんな名前のものか、

どれくらいの価値のものか、

そんなのは知らない。

ただ、すごく鼻に残る匂い。

 

その匂いを嗅ぐといつも、

わたしは興奮した。

 

 

その人は、

初めてわたしに会った日、

わたしを高速神戸駅まで迎えに来た。

 

そして、

すぐ近くのスーパーの地下駐車場に止めていた

その人の車で、

 

その人は、わたしに、

立ちバックで中出しをキメた。

 

 

当時、わたしはまだ高校生で、

 

その人は、わたしより30年ほど長く生きていた。

 

 

その人の「モノ」が人並みのそれではないことは、

わたしの身体が理解した。

 

まるで初体験のような痛みが、

わたしを悶えさせた。

 

 

勿論、ただの駐車場であり

声など出そうものなら人目についてしまう。

 

懸命に、涙と声を堪えた。

けれど堪えた涙と声の行き場はなく、

車の後ろに積んであったティッシュの箱を握りしめるしかなかった。

 

 

その人は、事が終わると、

わたしを助手席に乗せ、

須磨水族園が目の前に見えるホテルに連れてきた。

 

そこで、もう二度ほど、行為に及んだ。

 

 

そのあとは、

少し多めの交通費を頂いて、

また高速神戸駅まで送り届けられた。

 

 

 そして、それ以降度々、

土曜日や日曜日になると

神戸や明石に行っては、ホテルに連れられ、

その身体を捧げ、

時にはその人の身体を揉みほぐし、

時にはお昼ご飯をご馳走してもらい、

ホテルを出る前にお金をもらい、

帰路につく。

 

そういうことが、

1年ほど続いた時期があった。

 

その人に会う、イコール、セックスだった。

 

だから、わたしはその人の香水の匂いを嗅ぐだけで、

これからの情事を期待して、

下品にもじわじわと濡らしていた。

 

 

その人の性欲は、まるで猿だった。

 

人目につかないところを見つけるとすぐに挿入したがった。

その都合で、わたしは生理の日以外、

毎回下着の装着を禁じられ、

スカートであることが必須であった。

 

そして、

その人は写真を撮るのが趣味だった。

その技術は素人目に見ても高く、

わたしがカメラの世界に魅せられたきっかけとなった。

 

それとこれとが関係あるのかは分からないが、

その人はいつもわたしとの行為を映像に収めていた。

「おかず」にするためだったそうだ。

三脚を立て、ビデオカメラを設置し、

時にはそのカメラを手に、わたしを映しながら犯した。

わたしはその映像を1度も見たことがない。

関係が解消されてしばらく経ってから、その映像はすべて処分してくれたそうだが、

真相は定かではない。

もしかしたらネット上で晒されているかもしれないが、

そもそもその映像内での行為自体が犯罪だ。

自らの犯罪の様子を晒すなんて、

そんなリスキーなことをするほど馬鹿な人ではないだろう、

と都合よく考えている次第である。

 

 

また、

その人には、奥さんがいた。

そして、毎度毎度わたしをホテルへ連れていくだけの財力もあった。

足りなかったのは、性欲の行所だけらしかった。

 

 

当時のその人との関係は、

何とも言い難いのだ。

セフレほど淡白でもないけれど、

恋人ではないし、

きちんとお金を貰っていたわけではないから、

援助交際でもない。

 

1番ニュアンスが近いのが、

パパ活」だった。

 

勿論、行為に及んでしまっているので、

厳密には違ってくるのだけれど。

 

その人は、わたしを、

ただの性欲の捌け口としては扱わなかった。

まあ、今から思うと、ただそれはわたしをキープしておくためにそう扱っていただけかもしれない。

けれど、

その人との関係の中でわたしは一銭も出していない。

むしろ適度にプレゼントを与えられ、

食事を与えられ、

デートスポットに連れられ、

なにやら人生の話までしていた。

 

そういう、セフレと恋人の間をとったような関係だった。

 

 

わたしに彼氏が出来た頃から、

彼氏に対する罪悪感を抱えきれなくなっていった。

 

ちょうどその頃に行為に及んだ時。

その人は、生理中のわたしの中に突っ込んだ自分の「モノ」を、

勃ちが悪いから、と再びわたしの口に含ませた。

あの時、自分の血液の鉄くさい味を知った。

 

それから、

その人との関係は徐々に薄れていった。

 

 

今ではもう連絡も取らないし、

その人がどこで何をしているかは知らない。

会いたいとも思わないし、

勿論、また関係を持ちたいだなんて滅相もない。

 

それに、

その人との関係があったからと言って、

特別なにか変わったこともない。

ホテルに行き慣れてしまったことと、

わたしの性癖が少し曲がってしまったことくらいである。

 

 

けれど、

人混みの中でふと、その人の香りを感じると、

わたしは舌で鉄くさい味を感じる。

 

 

出来れば隠しておきたい、

嘘のようで本当の話。