ファッションメンヘラ

メンヘラを装備した人の思うところ。

男の図鑑集め

ポケモンは、ストーリーをクリアするより

図鑑を集める方に力を注ぐタイプだった。

 

新しいポケモンに出逢えば、

捕まえて、

図鑑に登録。

 

同じポケモンが再び現れても、

先程の興味などは嘘のように消えている。

 

 

わたしの男遊びは、

そういう志向だった。

 

 

抱かれるまでの時間。

これが、可笑しくて仕方が無い。

 

男の家の近くの居酒屋で、

サラダを分け合う。

 

その数時間後には、

互いに生まれたままの姿で

欲をぶつけ合うというのに、

 

そんなことなど匂わせない。

 

いや、正確には

気が付かないフリをする。

 

お互いに。

 

 

しかし腹の底で考えているのは、

多分男も同じだ。

 

この男は、

どんな身体をしていて、

どんな「モノ」を持っていて、

どんなふうにコトを運び、

わたしを犯すのか。

 

 

サラダ、多すぎるよね、って

顔を向かい合わせて笑う。

 

穢れなど知らぬと言わんばかりの顔をして。

 

 

 

そうして、何だかんだと理由をつけて

彼女ヅラをして男の家に上がり、

興味もない映画なんかを眺めながら、

ゆっくりと情事が始まるのだ。

 

 

おそらくわたしには、

自己肯定感が欠如している。

承認欲求が強すぎるのだ。

 

だから、セックスが好きになった。

 

こんなにも目に見える形で、

自分を求めている相手がいる。

 

その事実だけが、

わたしを数多くのセックスへと駆り立てていたように思う。

 

 

しかし、

事が終わり、夜が開け、家路に着く頃、

最大で最悪の虚無感に襲われる。

 

 

ああ、また知ってしまった。

 

図鑑は、またひとつ埋まってしまった。

 

「?????」と表示されていた名前も、

特性も、タイプも、

分かりきってしまった。

 

 

次は違うのを捕まえないと。

 

 

 

そうなってしまうと、

例えその男から何度も何度も誘いがあろうと、

わたしには予定が出来てしまう。

 

いずれはそのやりとりも煩わしくなって、

その男の存在ごと、手元から消してしまう。

 

 

 

図鑑の数が、

自分の歳と変わらないくらいに増えた頃、

図鑑集めをぱったり辞めてしまった。

 

飽きてしまった。

 

もう、捕まえることに魅力を感じなくなってしまった。

 

面倒臭い。

 

 

女にしては早すぎた終焉かもしれない。

 

けれど、もういいのだ。

飽きてしまったものは仕方が無い。

 

それに、

見ず知らずの男などに求めずとも、

わたしの承認欲求は充分満たされている。

そういうことに、ようやく気が付けたのだ。

灯台下暗し。

 

 

持て余すことになった性欲は、

自己処理をするか

恋人にぶつけることにしている。

 

 

いまはただただ、

手持ちポケモンを育てるのが楽しい。

 

 

でも、四天王の後に出てくるラスボスみたいなの、

あれだけは本当に子供泣かせだと思うよ。